本文へスキップ
医学よろず相談
NL Archive
アンチエイジングcolumn

CRPが高いのは年のせい?——死亡リスク1.54倍、Inflammagingの正体

2026-04-236

健康診断でCRP(C反応性タンパク質)が「基準値内だけど少し高め」と言われたことはありませんか。

「年齢的なものですね」——外来でもよく聞くフレーズです。私自身、研修医の頃はそう説明していた時期があります。しかし2025年に発表された大規模メタアナリシスを読んで、その認識を改めました。

CRPがわずかに高い人は、全死亡リスクが1.54倍。「年のせい」で片付けていい数字ではなかったのです。


Inflammaging——「消えない炎症」という概念

まず背景を整理しましょう。通常の炎症は、感染や怪我に対する体の防御反応です。傷が治れば炎症は収まる。ところが加齢に伴い、明確な感染源がないのに低いレベルの炎症がずっと燻り続ける現象が起きます。

2000年にイタリアの免疫学者Franceschiがこの現象を「Inflammaging(インフラメイジング)」と名付けました [1]。Inflammation(炎症)とAging(老化)の合成語です。

Franceschiらの2018年の総説では、この慢性炎症を駆動する3つの「火種」が体系化されています [1]:

  • Self(自己由来): 損傷したミトコンドリアDNA、酸化タンパク質などの「分子ゴミ」
  • Non-self(非自己): 体内に潜伏し続けるウイルス(CMV、EBV等)による持続的免疫刺激
  • Quasi-self(準自己): 腸内細菌叢の変化、過剰な栄養摂取による「メタフラメーション」

この3つが複合的に自然免疫を活性化し続け、IL-6やTNF-alphaといった炎症性サイトカインが慢性的に産生される。これがInflammagingの正体です。


CRPとIL-6——健診で捉えられる「隠れ炎症」

では、このInflammagingを実際に測定するにはどうすればよいのでしょうか。

研究で最も頻繁に使われるバイオマーカーが、CRP(C反応性タンパク質)とIL-6(インターロイキン-6)の2つです。

CRPは肝臓で産生される急性期タンパク質で、炎症があると血中濃度が上昇します。一般的な健康診断で測定される通常のCRPは、肺炎や関節リウマチなどの「大きな炎症」を検出するためのもの。一方、高感度CRP(hs-CRP)は、Inflammagingのような「微弱な慢性炎症」を捉えるのに適しています。

IL-6は炎症性サイトカインの一つで、老化細胞が分泌するSASP(老化関連分泌表現型)の主要成分です。つまりInflammagingの「直接的な犯人」に近い分子ですが、一般的な健診では測定されません。研究レベルでの指標です。

日本の健診でhs-CRPを測定できるかどうかは施設によります。人間ドックのオプション検査として提供している施設が増えていますが、標準項目には含まれていないことが多い。費用は自費で1,000~3,000円程度です。かかりつけ医に「hs-CRPを測りたい」と伝えれば、保険適用で検査できるケースもあります(動脈硬化リスク評価の一環として)。


NLアーカイブ全文はメンバー限定です

メールで届いたNLの全文は、メンバー登録するとアーカイブで読み返せます。

あわせて読みたい

免責事項:本サイトの情報は医療行為(診断・処方・治療)を提供するものではありません。健康上の判断は必ず医師にご相談ください。