なぜ「急に」来るのか
閉経前後で女性ホルモン(エストロゲン)は大きく低下しますが、腟や尿道の粘膜は卵巣機能が止まってからしばらく蓄えで持ちこたえます。そのため、閉経直後は無症状でも、1〜2年経ってから乾き・性交痛・繰り返す膀胱炎がまとめて出てくる——というのはよくある経過です。
この状態は GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)と呼ばれ、北米閉経学会のガイドラインでは閉経女性の27〜84%が経験するとされています。「年のせい」と我慢される方が非常に多いのですが、ほてりなどと違い、GSMは放置しても自然には軽くなりにくい(むしろ進行性)ことが分かっています。
膀胱炎の繰り返しもGSMの一部です
腟と尿道は発生学的に同じ組織から生まれるため、エストロゲン低下の影響を同時に受けます。粘膜が薄くなり、腟内の善玉菌(乳酸桿菌)が減ることで、膀胱炎を繰り返しやすくなります。
ここは治療で変えられる部分です。腟に直接使う局所エストロゲン(腟錠)は、再発性膀胱炎を約58%減らすことが研究で示されており、日本でも保険適用があります。飲み薬のホルモン補充とは違い、血中のホルモン濃度をほとんど上げないため、GSMの症状だけなら局所治療が第一選択とされています。
受診の目安
- 症状が性生活や日常生活に影響している
- 膀胱炎を年2回以上繰り返している
- 市販の保湿剤・潤滑剤で不十分
このいずれかに当てはまるなら、婦人科で「GSMではないかと思う」と伝えてみてください。その一言で話が早く進みます。恥ずかしくて言い出しにくい悩みですが、外来では日常的に扱われている、治療手段のある症状です。
詳しい治療の選択肢(局所エストロゲン・DHEA腟剤・飲み薬・保湿剤の比較)は、下のピラー記事で数字とともに解説しています。