レタトルチドの実力は本物です
まず事実から。レタトルチドは GLP-1・GIP・グルカゴンの3つの受容体に働く「トリプルアゴニスト」で、第2相試験では48週で体重24.2%減という、既存薬を上回る最高水準の結果を出しています。メタ解析でも血糖・血圧の改善が確認されており、期待される薬であることは間違いありません。
それでも個人輸入をすすめない理由
1. まだ治験中の薬です。 第3相試験が進行中で、世界のどの国でも承認されていません。長期の安全性データはこれから出る段階です。
2. 出回っている製品の中身が保証されません。 承認前の薬が「個人輸入サイト」で買える場合、それは研究用試薬や出所不明の製造品であることがほとんどです。有効成分の量が表示と違う、不純物が混じっている、そもそも別物——という品質リスクを、注射剤で取ることになります。
3. 健康被害が起きても救済がありません。 日本の医薬品副作用被害救済制度は、個人輸入した未承認薬には適用されません。
正規の選択肢がある時代です
日本では肥満症に対してウゴービ(セマグルチド)、ゼップバウンド(チルゼパチド)が承認され、条件を満たせば保険適用で使えます。チルゼパチドは日本人での第3相試験(SURMOUNT-J)で21.1%の減量を示しており、これだけでも数年前の外科手術に迫る水準です。
「最新のものを試したい」という気持ちは自然なものです。ただ、レタトルチドが承認される日は遠くない可能性が高く、それまでの数年を出所不明の注射で埋めるのは、得られるものに対してリスクが大きすぎるというのが正直な意見です。まずは肥満症治療を扱う医療機関で、保険で使える選択肢に自分が該当するかを確認するのが最短ルートです。
次世代薬がどこまで来ているか(レタトルチド・経口薬・アミリン併用の開発状況と日本での見通し)は、下のピラー記事で詳しく解説しています。